第30回日本脳神経外科救急学会
会長 和田 孝次郎
防衛医科大学校脳神経外科学講座 教授
はじめに,この度の令和6年能登半島地震で被災された皆様に,心よりお見舞い申し上げますとともに,皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます.
2025(令和7)年2月6日(木)・7日(金),お茶の水ソラシティを会場に,第30回日本脳神経外科救急学会を開催させていただきます.本教室にとりまして伝統ある本学会を主催させていただくことは大変光栄に存じており,身の引き締まる思いです.本学会は脳神経外科や救急・集中治療を専門とする医師,看護師,救命救急士などが一堂に会し,脳神経外科救急を多職種横断的に議論するフォーラムとして発展してまいりました.本学会が取り上げてきたテーマは脳卒中や頭部外傷などの脳神経外科救急疾患の診断,治療,急性期管理にとどまらず救急医療体制や救急医療を担う人材の育成にまで多岐に及びます.
今回の学会では,メインテーマとして「災害医療への挑戦」を掲げました.平成7年(1995年)1月神戸淡路大震災,平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)や平成28年(2016年)熊本地震,平成27年9月関東・東北豪雨,平成28年1月の西日本一帯における寒波,平成30年7月豪雨,そして令和6年(2024年)1月の能登半島地震など,我々は多くの大規模災害を経験しており,今後もこのような大規模災害等が発生する可能性が高いと考えられています.これら地震,津波だけでなく,COVID-19,テロ,原子力発電所事故等に直面したときに脳神経外科救急担当者はどう対応してきたのか,そして想定される災害にいかに対応したらよいのか,その時,自衛隊医官は災害派遣でどう対応するのか.また,災害へ備えることは可能なのかについて,もう一度振り返り,災害医療対策の現状と整備をキーワードとして,これからの脳神経外科救急について特別講演,招請講演,教育講演,シンポジウム,ランチョンセミナーなどを企画し議論していただきたいと考えております.職種を問わず,医療現場で従事される皆様方の“まさか”の時に役立つ学術大会になればと期待しております.さらには,脳神経外科救急学会のこれからの歩みを着実に進めるための推進力となればと願っております.会員皆様方のご助力を得て,本年度も日本脳神経外科救急学会としての特徴を持った運営をして行きたいと考えております.
最後に,本大会の開催に際し,多くの皆様方のご支援ご協力を賜りますことを心からお願い申し上げ,第30回学術大会の成功と日本脳神経外科救急学会の発展を切に願いまして開催のご挨拶とさせていただきます.
2024年2月吉日